第225章彼女の交代

♡レイラ♡

一分が過ぎた。

それから二分。

そして、浴室の扉越しに聞き慣れた音がした。

カインの着信音。

誰かが彼に電話をかけている。

息がひゅっと喉の奥でつかえ、耳を扉へいっそう押しつけて聞き取ろうとした。彼の声は低い囁きに落ちる。言葉は判然としない。ただ、断片だけ――鋭く、切迫しているのがわかる。

それから、足音が速く遠ざかった。

「カイン、待って――何を――」ホセの婚約者の声が追いかけたが、扉が閉まる音に呑まれた。

行ってしまった。

震える息が肺から吐き出される。

扉から頭を離し、目を開けた。

少なくとも……やらなかった。

少なくとも、あれを聞かずに済んだ。

...

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