第34話生々しくて楽しい

~エルメス~

「ごめんなさい」彼女がささやく。幕が落ちるみたいに、視線がすっと下がった。

息を引きずるように吸い込んでしまう――大きすぎて、鋭すぎる。俺は顔を背け、まっすぐシャーロットを見る。あの忌々しい失望した顔をしている。

違う。そういうことじゃない。

俺はただ、ジューンにオフィスから出ていってほしいだけだ。俺の空間から、俺の呼吸の届くところから――そして何より、俺の手の届くところから。

だが、それをどう説明すればいい? 彼女の香水で胸が締めつけられる、と? 彼女が視界に入るたび、十秒後には取り返しのつかないことをしそうになる、と?

言えるわけがない。だから――

「それを片づ...

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