第38章忘れられた庭

六月

「グランデ氏?」思わず声が漏れた。肩に置かれていた彼の手が、するりと優雅に離れていくのを見ながら、私は半歩後ずさる。

彼の視線が落ち、私の目もそれを追った――彼がもう片方の手に持っている、私の飲み物へとまっすぐに。

いつから、ここに立っていたの?

「グランデさん、な……何をしてるんですか、ここで?」眉が跳ね上がる。

本気で。なんで私の場所にいるの。

つい十分も前に私に消え失せろみたいなことを言ったくせに、今はここにいる。

「君こそ、ここで何をしている?」彼はそう切り返し、まるで博物館の展示でも眺めるみたいに周囲を見回した。

まあ、そうよね。ここが“忘れられた庭”と呼ばれて...

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