第79章空のシート

六月

私は空っぽのシーツの上を手探りする。彼の筋肉の熱を探して指を這わせるのに、返ってくるのは冷たさだけだった。

「う……」唇がかすれた声をこぼし、私は瞬きしながら何もない部屋を見回す。

どこにいるの?

指先は落ち着きなくベッドを叩きつづけ、ふと気づく――私、今何時かも知らない。

勢いよく上体を起こす。喉の奥に焦りがつかえ、携帯を探して目が忙しなく走った。

どうして起こしてくれなかったの。最悪。

画面を見て、思考の渦が一拍だけ止まる。午後十時半。

その次の瞬間――ブブブ、ブブブ、ブブブ。通知がウイルスの流行みたいに一気に携帯を埋め尽くした。不在着信:レイラ、ケイラ、トビアス、ア...

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