第8章ハー・タッチ

~ヘルメス~

なんだよ、これ。

違う。

違う。

違う。

「もっとふさわしい格好をしてこい」って言ったのは、こういう意味じゃない。

くそ。

自業自得だ。

首から足首まで、完全武装。肌の気配が一片もない。鎖骨も見えないし、太ももの隙間もない。手首ですら出ていない。

となると、想像で脱がすしかない。

それがまた、たちが悪い。

ごくりと喉を鳴らし、表情を無に押し込めたままオフィスへ向かう。

それにしても、なんであいつはあんな目で俺を見てくる? 褒め言葉でも待ってるみたいに。

勘弁しろ。見るな。

ドアノブを握る手に、力が入りすぎる。

今日という一日を、俺はどうやって生き延びろ...

ログインして続きを読む