第98章カルマ

~ヘルメス~

リゾートの門の前で車を停める。彼女がぴょんと降りるのを見送った。ドレスは妙にずれたところに張りつき、髪は俺がそうしたとおりぐしゃぐしゃだ。彼女はやけに明るく、ほとんど無邪気みたいに手を振る。……くそ、俺まで手を上げて振り返してしまう。

ラウンジの扉をすり抜けるまで、その後ろ姿を目で追う。温かな灯りと笑い声に飲み込まれるように、彼女が消えた瞬間、俺は強く息を吐いた。額をハンドルに押しつけ、拳をレザーに食い込ませる。

「……何なんだよ、いまのは」

視線が横に滑り、助手席に放り投げられたレースのブラに止まる。勝手に、低い笑いが漏れた。頭の奥で彼女の声が反響する――「あなたが寂し...

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