第4章
七海浩紀のマンションの玄関に立ち、私は一歩を踏み出せずにいた。
「千葉さんが突然帰ってきたりしませんか?」
私は声を平静に保とうと努めながら、緊張気味に尋ねた。
七海浩紀は振り返って私を見つめる。その眼差しは複雑な色を帯びていた。
「何を心配している?」
「誤解を招きたくないんです」
と、私は小声で言った。
七海浩紀は答えず、ただまっすぐリビングへと向かっていく。
一瞬ためらった後、私は結局彼の後について中へ入った。マンションの内部はシンプルで、女性がいた痕跡は一切ない。
「座って」
七海浩紀はソファを指し、それから本棚から一つのファイルを手に取った。
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