第7章
指が勝手に震え、胸に何かが詰まったようで、呼吸が苦しくなる。
スマートフォンの画面が目の前で滲んだ。
彼が私を見つけ出し、引き立ててくれ、給料を上げてくれ、プログラミングを教えると約束してくれたのは、すべてただ借りを返すためだったなんて。
八年前、私は彼と付き合い始め、不釣り合いな立場へと引きずり込んだ。実家の裕福さを利用して彼を助けた。彼はあまりにも実直で、ずっと私の施しを覚えていたのだ。
私が姿を消した後、私は彼の心に重くのしかかる荷物、債権者となった。そして今、彼はついに自身の成功で私に報いることができるようになった。
なんて正直な人なのだろう。私は自嘲気味にそう...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
縮小
拡大
