第10章 あの人物には手を出すな

警察官はため息をついた。

「林さん、分かっているでしょう。事故を起こした運転手は、もう保釈されています。会えるわけがありません」

声をひそめると、林夕葵のほうへわずかに身を寄せる。

「林さん、ひとつ忠告です。この件はもう追わないほうがいい。あの運転手の背後には人がいます。あなたでは太刀打ちできません」

林夕葵の胸が、どすんと重く沈んだ。

「その人って……いったい誰なんですか」

警察官は首を横に振るだけで、それ以上は何も言わなかった。

本来、この件は彼自身に直接関わる話ではない。林夕葵に何ひとつ教えなくても、それで済む立場だ。

それでも口を開いたのは、息子を失った悲しみの中で、...

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