第11章 「ブラックボックス」

ローテーブルの上はすっかり空っぽだった。辰樹のミニカーは、あのカシミヤのセーターと一緒にゴミ箱の底で転がっている。

林夕葵はそれを二、三度ぼんやりと目に入れただけで、すぐさま階段を駆け上がり、辰樹の部屋へ飛び込んだ。

部屋は狭い。それでも、あたたかい。壁には宇宙飛行士のポスターが貼られ、枕元には辰樹がいちばん好きだった小さな毛布が置かれている。

林夕葵は震える手で、探し始めた。

引き出し。クローゼット。枕の下。ベッドの下。

ない。どこにも、ない。

心が、じわじわ沈んでいく。

しまいには体力が尽き、床に膝をついたまま動けなくなった。辰樹の服を一枚ずつ取り出しては確かめ、本を一冊ず...

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