第16章 彼はもう死んだ

「どうして……?」

せっかく大変な思いをして証人を探し当てたのに、こんな急に死ぬなんて。

「借金の取り立てで来たんでしょ。持っていけるものがあるなら、勝手に持っていって」

女はドアを大きく開け放った。

リビングは足の踏み場もないほど荒れている。ここ数日、まともに暮らせていなかったのが一目でわかった。

林夕葵は、しばらく言葉を失ったまま立ち尽くす。

陸川時生が一歩前へ出た。

「突然すみません。鈴木さんは……どうして亡くなられたんですか?」

「交通事故よ」

女は伏し目がちに答えた。表情は麻痺していて、涙ももう枯れたように見える。きっと、泣きすぎて心が壊れてしまったのだろう。

...

ログインして続きを読む