第17章 最初の被験者たち

それも無理はない。がん患者――とりわけ末期の患者は、自分がもう助からないと分かってしまえば、残されたわずかな時間を家族のために使おうとするものだ。どうして、あんな冷え切った病院でその時間を費やそうとするだろう。

まして、自分の体にこんな未知の薬を打つとなれば、恐怖を覚えて当然だった。どんな結果になるのか、誰にも分からない。

もし標的薬を投与したせいで、かえって苦しみが増したら――その責任は、誰が取るのか。

林夕葵は、彼の言いたいことをきちんと理解した。

「陸川先生。私を最初の治験参加者にしたい――そういうことですか?」

陸川時生はわずかに目を伏せた。正面からは答えず、静かに言う。

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