第19章 狭い道で仇に出会う

「遥香、何を見てるんだ?」

秦野彰はさっきまで店員と言い合いになっていて、店を変えようとしていた。ところが振り返った途端、林遥香の姿が消えている。

辺りを見回し、ようやく彼女を見つけた。

林遥香は一つのテーブルの前にまっすぐ立ち尽くし、何を見ているのかも分からない。呼びかけても、まるで耳に入っていない。

――いや、聞こえていないのだ。

林遥香の頭の中を埋めているのは「嫉妬」の二文字だけだった。

人間の欲は際限がない。自分の隣には秦野彰がいる。それでも林夕葵の隣に、あんな出来のいい男が現れたと思った瞬間、胸の奥がざわついて仕方がなかった。

林夕葵みたいな役立たずの汚い女は、ゴミ溜...

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