第26章 地下室

その夜、秦野彰は屋敷を出なかった。

林夕葵は、彼が書斎で電話をしているのを耳にした。壁越しの声は途切れ途切れで、それでも言葉の輪郭だけは刺さるほどはっきりしていた。

「……そうだ。明日、窓もドアも全部点検しろ……スマートロックは指紋と顔認証を追加……俺の許可なしに、誰も出入りさせるな……」

夕葵は辰樹の部屋の小さなベッドに腰を下ろし、銀色の小さな飛行機のペンダントを抱えたまま、外から漏れてくる声を聞いていた。胸の奥が、しんと冷えていく。

牢を――補強している。

深夜。

秦野彰が辰樹の部屋のドアを押し開けた。

夕葵は眠っていなかった。ベッドのヘッドボードにもたれ、腕の中には辰樹の...

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