第37章 余計な格好つけ

「あなた、自分で言ったでしょう。この家にはもう二度と戻らないって。息子の物だって全部持って行ったくせに、どうしてまた戻ってくるの? いったい何をするつもり!」

林遥香の声は甲高く、耳障りなくらい尖っていた。そうでもしなければ、胸の奥で膨れ上がる動揺と恐怖を押し隠せないのだろう。

これだけの騒ぎに、そばにいた安吾がびくりと肩を跳ねさせた。

もともと不安だったのだ。母親の様子が、いつもとまるで違う。そのうえ林遥香がいきなり声を張り上げて怒鳴ったものだから、安吾はたまらず泣き出してしまう。

「泣くんじゃない!」

苛立ちに駆られた林遥香は、ばっと振り向き、安吾をきつく睨みつけた。

「何泣...

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