第38章

「彰、知らないでしょ。お姉ちゃん、機嫌が悪くてさ。あたしのこと罵るだけじゃなくて、安吾のことまで……ひどい言い方したの!」

「安吾は――何があっても、私の子どもだよ? なのに、あの人……安吾のことを『父親のいない雑種』だなんて!」

「母親として、そんなの聞いたら……ほんとに、つらくて……だから……だから……」

林遥香はおずおずと秦野彰を見上げた。声は話すほど小さく、尻すぼみになり、最後には蚊の鳴くような音に変わる。

自分でも分かっているのだ。この作り話が、どれほど薄っぺらいか。

それ以上に――秦野彰の顔色が、ひどく険しい。機嫌が悪い。そう感じ取った瞬間、林遥香は口をつぐんだ。今この...

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