第142章

黄前瑞幸が一般病棟へ移ったその日、西原司がまた見舞いに来た。

葉山美晴はベッド脇に腰を下ろし、瑞幸に粥を食べさせている。ひと匙、またひと匙。動きはゆっくりで、やけに丁寧だ。

「司が来たわ」美晴は司の姿を見つけると、ぱっと笑った。

黄前瑞幸も入口へ視線を向け、術後の弱々しさをわざとらしく装って、か細い声を出す。

「司……わざわざ来てくれたのね。悪いわね、忙しいのに」

司はベッドのそばまで歩き、手にしていた果物籠をテーブルへ置いた。

「当然です。黄前おばさん、今日は具合どうですか?」

「だいぶ良くなったわ」

そう言った直後、瑞幸はごほごほと咳き込み、美晴が慌てて粥椀を置いて背中を...

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