第26章

平岡貴利の強い要請で、周防凛はやむなく自宅療養を三日間続けることになった。

その間、西原景冶は毎朝きっちり決まった時間に電話をかけてきて、凛の足の具合を気にしてみせた。

母子のあいだに、こんなふうに温度のある時間が生まれることは滅多にない。けれど偏に、その「気遣い」が葉山美晴からの指示でしかないのが、いちばん質が悪い。

西原景冶の声を聞くたび、周防凛は息が詰まって、胸の奥がじくじく痛んだ。

普段の彼は甘やかされていて傲慢だ。だからこそ、あの作りものみたいな、薄い優しさ――冷たい仮面を「心配」という形に整えただけの声音のほうが、余計に心を冷やす。

六年育てた息子は、結局、懐かなかった...

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