第27章

個室の空気が、瞬時に凍りついた。

東山覚と朝日柏矢は、西原司がどう出るのかを黙って待っている。

西原司は冷めた表情のまま、赤ワインのグラスを握る手にぐっと力を込めた。手の甲に血管がくっきり浮き上がる。

重たい沈黙が、場をいっそう見えにくくする。

面白がって火に油を注ぐタイプの朝日柏矢が、答えを急かした。

「司、はっきり言えよ。いつ離婚すんだ?」

西原司はグラスを持ち上げ、赤ワインを一気に飲み干す。唇を拭うこともなく、淡々と言った。

「そのうち」

朝日柏矢は肩をすくめる。

「美晴だって、もういい歳だろ。いつまでも待たせんのかよ?」

「仕方ない。じいさんが首を縦に振らない」

...

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