第58章

周防凛は離婚協議書を握りしめ、指先がわずかに白くなる。

西原司は淡い表情のまま言った。

「離婚協議書だ。よく目を通して、問題ないなら早めに署名してくれ」

周防凛はページをぱらりとめくる。

西原司は金払いだけはいい。周防凛に、決して少なくない財産を分け与える内容になっていた。

項目がひとつ、またひとつと視界に流れ込んでくる。

見ているうちに目の奥がじんと腫れるように痛み、風邪で荒れた喉もひりついた。

「弁護士に確認します。問題なければ、なるべく早く西原様にご連絡いたします」

周防凛の声はかすれていた。喉の熱さが涙腺を刺激したのか、目元が赤くなり、眼底に熱い雫が溜まっていく。

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