第60章

 周防凛は、聞き耳を立てるつもりなどなかった。冷えた顔のまま、足早に実家の中へ入っていく。

 そのとき、西原お婆さんは西原景冶と一緒に、すごろくで遊んでいた。

 西原お婆さんは、前からずっと周防凛を快く思っていない。

 もともと、あの夜のことがなければ――周防凛が西原司に薬を盛るような真似をしなければ、二人の間に西原景冶が生まれることもなく、周防凛が西原家に入ることもなかったはずだ。

 それでも長年、見て見ぬふりをしてきたのは、ひとえに可愛い孫の西原景冶がいたからにすぎない。

 そして今、西原司が離婚すると口にした以上、西原お婆さんが真っ先に賛成へ回るのは当然だった。

「景冶、お...

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