第19話

「白石紗月、神谷様ってあんたに優しすぎない?」

藤崎杏奈はさっきからこっそり神谷悠真の背中を追っていた。彼の姿が角の向こうに消えたのを確かめると、すぐ私の腕にぎゅっと抱きつき、軽くぶんぶん揺らしてくる。

「ねえ、紗月。冗談じゃなくてさ。あの人、ちょっと……いや、かなり紗月のこと好きだと思うんだけど。紗月は? 神谷様のこと、どう思ってるの?」

「藤崎杏奈、やめてよ。神谷様と私をからかうの」

こめかみを押さえ、ため息が漏れる。

「前にも言ったでしょ。私たち、ただの友だち。困った時に助けてくれるのは、神谷様のお子さんが私になついてるからで――」

「ありえない」

杏奈は腕を組み、きっぱ...

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