第25話

(神谷悠真 POV)

黒瀬蓮が病室から出てきた瞬間、顔色が一気に陰った。まるで大勢の前で平手打ちでも食らったみたいに。

俺は廊下の長椅子に脚を組んで凭れ、わざとらしく口元をつり上げる。

「よう、黒瀬さん。白石紗月に追い出されたか?」

黒瀬蓮は足を止め、横目で俺を見た。氷みたいに冷えた視線。

「君は頭の切れる商売人だと聞いている」

怒りを無理に押し殺した声で言うと、俺の隣に腰を下ろす。スーツの皺を直すふりをして、その目の底の刺を隠した。

「得が十分なら、何だって手放せるタイプだ」

「取引の話?」俺は眉を上げ、笑みを深くする。

こいつとは何度もやり合ってきた。口を開いた時点で、...

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