第26話

「白石紗月、大丈夫か?」

次の瞬間、頭上から低くて、けれどやさしい声が降ってきた。背中が彼の胸にぴたりと当たっていて、言葉に合わせて伝わる微かな震えまで、はっきり分かる。

はっと顔を上げると、神谷悠真の瞳が心配でいっぱいになって私を映していた。

「神谷……悠真?」

声が震える。驚いたせいなのか、それとも別の何かなのか、自分でも判別がつかない。私は慌てて身を起こし、彼の腕の中から離れた。胸の奥が、酸っぱくて、重い。

可笑しい話だ。

怪我をした私に、法的な伴侶は平然としていて、挙げ句の果てに私を脅す。

それなのに、知り合って間もない友人のほうが、私を大事に扱う。

「足、痛まない?...

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