第35話

Part I 黒瀬律’S POV

美玲さんが俺の手を引いて、父さんの書斎から出た。

父さんは、うんともすんとも言わなかった。ただ「明日また話そう」とだけ言って、俺たちを寝かしつけにかかった。

でも俺はベッドに横になって、天井に映る星空ライトを見上げたまま、どうしても眠れなかった。

美玲さんの言葉が、虫みたいに頭の中を這い回る。

――ママは神谷怜の親子行事に行く。ママがいちばん可哀想だと思ってるのは神谷怜だから。だから、俺のところには来ない。

ママに電話したかった。

今週末、幼稚園で親子イベントがあるんだって。父さんと一緒に来てほしいって、言いたかった。

それから――この前、美...

ログインして続きを読む