第36話

神谷怜は私のスマホ画面をじっと見つめていた。小さな頬に走る、年齢にそぐわない冷たさ。

けれど彼が顔を上げて私を見ると、すぐに胸がきゅっとなるほど健気な笑みを浮かべるのだ。

「白石紗月おばさん。たとえ黒瀬律が、あなたに親子イベントの付き添いを頼まなくても……僕、もう園のゲームに参加したくない」

一拍おいて、怜は真剣な目をした。

「たぶん、ゲームしてたら黒瀬律と、そのパパに会うでしょ。おばさん、あの人たちに会うたびに苦しくなる。僕ね、おばさんには毎日笑っててほしい。悲しくならないで。傷つかないでほしい」

言葉が喉につかえて、私は動けなくなった。

五歳の子が、こんなことを言えるなんて。...

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