第41話

高木直哉の言葉には、返事をしなかった。

隣に座ったままの彼は、相変わらず白石紗月の悪口をまくしたてる。駆け引きだの、神谷悠真と関係が怪しいだの、そのうち後悔するだの。

昔なら信じたかもしれない。けれど今は、ただうるさくて仕方がない。

神谷悠真のあの動画が、棘みたいに胸に刺さったままだ。

私は立ち上がり、美玲の前まで歩いた。救急処置室から出てきて間もない彼女は、額にガーゼを巻き、顔色も悪い。弱々しく、頼りない。

以前なら、こんな姿を見ただけで胸が締めつけられていたはずだ。

――なのに今は、名もない怒りが胸の奥で燃えている。

「美玲」

口にした声は、自分が思っていたよりずっと冷静...

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