第45話

「白石紗月の注文くらいは俺がやる。だが神谷悠真、お前が俺について学ぶ必要はない」

黒瀬蓮は神谷悠真を一瞥する。瞳に、ひやりとした刃。

「白石紗月は俺の妻だ。俺が面倒を見る」

「いいね。じゃあ見せてよ。どうやって白石紗月の面倒を見るのか」

神谷悠真は手にしていたメニューを、すっと彼の前へ滑らせた。

黒瀬蓮は唇をきゅっと結び、長い沈黙ののち――私が家でよく作っていた料理を三つ、選んだ。

「黒瀬様……本当に、白石紗月と七年も一緒に暮らしてきたご夫婦なんですか?」

神谷悠真が吹き出した。

「俺なんか白石紗月と知り合って一か月でもう知ってるよ。彼女はナッツが嫌い、辛いのも嫌い、蟹も好き...

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