第55話

「幸い、全部終わったわ。……白石紗月も、ようやく目が覚めた」

榊原先生の言葉を聞くと、榊原美香の眼差しがすっと陰った。彼女はテーブルの急須を手に取り、私と榊原先生の湯呑みに静かにお茶を注ぐ。

「蓮司、さっき白石紗月が言ってたこと、聞いたでしょう? あの子は黒瀬家の連中の本性を見抜いたのよ。これからは、黒瀬源一の肩なんて持たない」

「よし。じゃあ今後は黒瀬家の人間なんて空気扱いだ。黒瀬源一は病死でも何でもすればいい」

榊原先生は口をへの字にして、湯呑みを持ち上げると一口すすった。

「……ごほっ、ごほっ。蓮司おじいちゃん、もう一度だけ……黒瀬蓮のおじいさんを助けてあげて。ほんの一回だけ...

ログインして続きを読む