第5章

政也視点

 六ヶ月。百八十三日。

 俺は部下たちに命じ、この街をひっくり返させた。隅から隅まで、路地裏の一本、病院の一室、遺体安置所の冷たい引き出しに至るまで捜し回らせたが、由樹はまるで神隠しにでも遭ったかのように、痕跡ひとつ残していなかった。

 小岩井グループの株価は三割暴落した。役員会の古狸どもが陰で囁き合っているのは知っている。「小岩井政也は狂った」「死んだ女のために破滅しようとしている」と。

 勝手に言わせておけばいい。俺はもう長いこと出社していない。佐藤が屋敷に書類を運んでくるが、俺はサインだけして放り出す。数字、報告書、利益率――かつては俺の血を沸き立たせたそれらも、今で...

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