第6章

由樹視点

 半年前、私はI-95のジャンクションで車を止め、あの赤いスポーツカーが遠隔操作装置によって炎の塊へと変わる様を見届けた。そして踵を返し、あの中古車販売店へ向かうと、目立たないグレーのセダンを引き取り、ひたすら北へ走った。十二時間後、W市の標識が見えるまで。

 そこは母が最期に暮らした街であり、私の幼少期において唯一、温もりのあった場所だ。私は通りに面した小さな店舗を借り、なけなしの貯金で花屋を開いた。店名は『Yellow Rose』――黄色の薔薇、母がもっとも愛した花の名だ。

 政也から離れるのは容易いことだと思っていた。彼が私を裏切り、その嘘で私を押し潰そうとしたのだから...

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