第6章

 私は廊下の天井近くに浮かび、このあまりにも滑稽な「打ち上げ」を静かに見下ろしていた。

 病院のVIP病棟には、百合の香りが充満している。

 かやの姿が見えた。

 彼女は実に顔色がよく、車椅子に乗せられてやってくる。

 その前で、颯斗が袖口を整えていた。

 かつて愛したはずのその男を眺めながら、私は今、ただ果てしない他者感と、乾いた滑稽さだけを感じていた。

 彼の顔には「任務完了」とでも言うような安堵が浮かんでいる。だが不意に眉を寄せ、「顔色は悪くないようだな、かや」と言った。その声色は硬い。

「想定よりもずっと」

「ええ、最高の気分よ、颯斗」かやは猫のように喉を鳴らし、満足...

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