第13章

あの夜、私は家に帰らなかった。

病院の長椅子に身を丸め、そのまま一晩を明かした。

翌朝、目を覚ましたときには高熱が出ていた。

携帯は一晩じゅう沈黙したまま。藤原浩史からは、電話一本すらない。

「先輩……」

長椅子に座ったまま、私は先輩に電話をかけた。

「留学の話、考えました。……決めました」

「西子、風邪ひいてるのか?」

声がいつもと違ったのだろう。中村八哉先輩が、心配そうに問い返してくる。

「うん。昨日、雨に濡れて……今日はちょっと」

「どこにいる? 風邪薬、持っていく」

焦った声。

「先輩、今日申請したら……いちばん早くて、いつ出国できますか」

自分でも驚くほど...

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