第209章

たぶん、怖い目に遭ったせいだ。眠りは浅く、落ち着かなかった。

黒谷浩也に襲われかけて、あの連中に売り飛ばされかけた。――私にとって、刺激が強すぎる出来事だった。

考えてしまう。もし、あのとき「今の私」じゃなくて、昔の本川西子だったら、どうしただろう。

きっと冷静に刃物を持って、あの二人を斬りつけて、それから警察に突き出したかもしれない。

でも、私はもう、あの頃の本川西子じゃない。

ときどき、自分でも疑ってしまう。私は本当に、星愛が愛している「本川西子」なのだろうか。

星愛が愛していたのが「昔の本川西子」なら、記憶を失って、性格も変わってしまった今の私は……まだ、彼の愛する相手なん...

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