第34章

「鈴宮若葉!」

崎原傑と藤原浩史の取り巻きが数人、どっと前へ出て鈴宮若葉を止めようとした。

けれど彼女の背後には、陸田哲がいる。

陸田哲は眉をひそめると、低く言った。

「静かにしろ」

警察の人間はあちこちに潜み、私が姿を現すかどうかを見張っている。

笑える。私は――今、あんたたちのすぐそばにいるのに。

けれど、誰にも見えない。

誰にも、届かない。

「藤原浩史、お前が彼女を殺したんだ。もう戻ってこない!」

時間だけが、じりじりと過ぎていく。1秒、また1秒。

それでも、私の姿は現れない。

ホテルの周囲には藤原浩史が先回りして配置した人間までいるのに。

いない。ずっと、い...

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