第56章

部屋の中で、早山哲司は手下に命じて星を痛めつけさせていた。表向きは「罰して外に出さないため」――外へ出て誰かを傷つけられたら困る、という理屈。だが、はっきり言えば、ただの悪意ある八つ当たりだ。

とはいえ、哲司が手加減しているのも見て取れた。本気で星を殺させる気はない。私の腹の子が、無事に生まれる保証はまだないのだから。

哲司は待っている。子どもが順調に生まれたら、その瞬間に星を完全に消す。早山家の「汚点」を、跡形もなく。

「何しに来た」

哲司が低い声で言った。

「血生臭い場所だ。妊婦は大人しく休んでろ。若奥様を連れて下がれ」

星は頭を抱えたまま、目だけが鋭く光っている。憎悪と殺意...

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