第94章

羽岡助手は一瞬ためらったものの、結局うなずいた。

精神病院へ向かう道中、私の身体はずっと小刻みに震えていた。

どうしてこんなに悲しいのか、自分でも分からない。ただ、頭の中には煤で黒くなったあの部屋が、何度も何度も浮かんでくる。

炎。濃い煙。絶望の叫び声。

星と同じ部屋で眠るたび、私は知ってしまう。彼の背中一面に走る、醜く盛り上がった傷跡。両手も、ふくらはぎも――火傷の痕だ。

あの火事のせいだろう。

あのときの彼は、どれほど痛かったのだろう。

「この精神病院は、その後に摘発されて閉鎖されました。院長は逮捕。患者虐待が暴かれて」

向かう途中、私はその病院を検索した。出てくるのは、...

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