第7章

ちゃぶ台に突っ伏しながら、私はサインペンを写真の上で滑らせていく。

千枚、二千枚……三千枚目に差し掛かった頃には、もう手首が痛み始めていた。

「ファンのみんな、これって水増しだって言わないかな?」

私は自嘲気味にカメラに向かって笑いかける。

「今回の動画、内容がシンプルすぎるもんね」

玲子が私の向かいに座り、そっと首を横に振る。

「明日さんが元気な姿を見せてくれるだけで、ファンはみんな喜びますよ」

私はサインの入った写真をカメラの前に掲げる。それは私の最後のテレビドラマの宣伝写真だった。写真の中の私は、水色のワンピースを着て、桜の木の下で微笑んでいる。

「もともとは...

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