第18章 彼女の手と引き換えに得たもの

名取佳奈は車を降り、外観だけは絢爛に飾り立てられた3階建ての邸宅を見上げた。目の奥を、嘲りがひとすじ走る。

この別荘は、当時、名取家の人間が彼女に黙って薄井礼央にねだったものだ。しかも改装費用まで薄井礼央持ち。佳奈が知ったときには、名取家はとっくに荷物ひとつで住みつき、我が物顔で暮らしていた。

佳奈はその件で薄井礼央と大喧嘩した。名取家に甘すぎる、あまりに庇いすぎだと。

けれど薄井礼央は、平然と言ったのだ。

家族なんだから、細かいことは気にするな、と。

その瞬間、佳奈は思い知った。薄井礼央には、彼女が背負わされてきた苦難が見えていない。左手を失ってからの痛みも、もがきも、わかろうと...

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