第29章 金に目がくらんだ

名取佳奈は顎をわずかに持ち上げ、薄井礼央を淡々と見据えた。声も驚くほど落ち着いている。

「どう思おうが勝手よ。いま私の土地を買うのは須藤さんなんだから。金を出すか、出さないなら出ていくか。どっちかにして。私の時間を無駄にしないで」

薄井礼央の顔色が、さらに暗く沈む。

現場を押さえられてもなお、非を認めない。離婚の話にまで持ち込まれないと、この女は止まらないのか――そんな苛立ちが滲んだ。

礼央の空気が険しくなったのを察し、須藤唯は慌てて立ち上がり、彼の腕にしがみつくようにして宥める。

「礼央。佳奈さん、きっと急ぎの事情があるのよ。それで土地を手放すんだと思う。ちょうど私も土地が必要だ...

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