第47章 彼の名義を冒用する

名取佳奈は完全に意識を失っていた。次に目を覚ましたとき、そこはもう病院だった。

消毒液のつんとした匂いが鼻の奥を刺す。重たいまぶたを開けると、目に飛び込んできたのは眩しすぎるほどの白。頭上では点滴バッグが、ぽたり、ぽたりと薬液を落としていた。

額の傷はまだじくじくと痛んでいる。無数の細い針で、何度も何度も刺されているみたいに。

かろうじて指先を動かしてみて、自分が病院のベッドに寝かされているのだと知った。手首には点滴の針。全身はだるく、力が入らない。ただ、エレベーターが急降下したあの瞬間の浮遊感と、死の恐怖だけは、脳裏にくっきり焼きついたまま離れなかった。

助かったんだ。

そう思っ...

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