第49章 不適格な夫

名取佳奈は警察に事情をひと通り説明すると、ひどい眩暈に耐えきれず、そのまま再び眠りに落ちた。

だが、その眠りは少しも安らかなものではなかった。夢の中では、エレベーターが真っ逆さまに落ちていくあの浮遊感が何度も蘇り、須藤唯の、か弱そうに見えて腹の底に毒を隠した顔と、薄井礼央の冷えきった陰のある眼差しが、代わる代わる迫ってくる。

それらが絡み合い、息もできない網のように名取佳奈を絡め取る。

やがて、こんこん、と控えめなノックの音が耳に届いた瞬間、彼女は悪夢の底からはっと目を覚ました。

そのときになってようやく、自分の背中が冷や汗でじっとり濡れていることに気づく。しかも、目が回るような感覚...

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