第51章 子どもが欲しい

薄井礼央はその場に立ち尽くし、食卓に並んだ見栄えのしない朝食を見下ろした。胸の奥が、苦いものと甘いものをごちゃ混ぜにしたみたいにざわつく。

女のために料理をしたのは初めてだ。プライドを折ってまで機嫌を取ったのも初めてだ。なのに返ってきたのは、冷たい拒絶だけ。

名取佳奈の迷いのない背中を見送ると、また言いようのない違和感が湧き上がった。しかし、それ以上に重くのしかかるのは無力感だった。

――俺たちは、いつになったらまともに言葉を交わせるんだ。

ほどなくして名取佳奈が身支度を整え、田中さんは買い出しから戻ってきて手際よく食事を用意した。名取佳奈は淡々と口に運び、ラフな部屋着に着替えるとバ...

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