第54章 久しぶりにこんなふうに笑った

いつの間にか日が傾き、夕陽が落ちかける頃――薄井礼央はようやく、あの大きなたらい一杯の洗濯物を洗い終えた。

指先はじんじんと痺れ、腰は重く鈍く痛む。全身から疲労が滲み出ているみたいだった。

絞った衣類を1枚ずつ物干しロープに掛けていく。手つきは相変わらず不器用なのに、やけに真面目で、手を抜く気配が欠片もない。

名取佳奈が子どもを抱えて通りかかり、横目でそれを見た。

――心は、ぴくりとも動かない。

どうせ須藤唯に見せるための芝居だ。どれだけ本気に見えたところで、彼が自分を愛していない事実は変わらない。

日が暮れかけた頃、中島院長が「今夜はみんなで餃子を包むよ」と声をかけた。

佳奈...

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