第6章
ノックの音はますます大きくなり、俺は階下へ下りてドアを開けるしかなかった。
その瞬間、ドアが乱暴に押し開けられた。
「松本貴志!」涼介の声が雷鳴のように轟き、彼は怒りに燃える目で、攻撃的に踏み込んできた。「てめえ、何してやがる!」
俺の全身が即座にこわばった。「黒木涼介、お前にそんな権利は――」
「権利だと?」拳を握りしめ、近づきながら彼は嘲笑した。「胡桃が記憶喪失だと知ってて嘘をついてるのか?これは犯罪だぞ!記憶喪失の彼女に、よくもまあ――」
「もういい!」俺は立ち上がって彼と向き合った。「何の権利があってここに来て俺を非難する?」
階上から聞こえていた足音が止んだ。胡...
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