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再生能力があれば、体内のアルコールくらい分解してくれるだろう――そんな甘い期待を抱いていたのかもしれない。ワインを何杯飲んだのか、もう覚えていない。それでも、ケンゾーに部屋まで運んでもらおうという申し出を断るくらいの分別は残っていた。おぼつかない足取りながらも、私は自力で階段を上った。認めたくはないけれど、一歩一歩に必死に集中しながら。ようやくドアを閉め、ベッドにたどり着いたとき、これでやっと休める、と思った。

だがその時、ベッドサイドテーブル――そしてそこに置かれた携帯電話が目に入った。この二日間、一度も目を向けていなかった、まさにその携帯が。

それを手に取ると、喉の奥が詰まるような感覚...

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