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まるで魔法のかかった霞の中に足を踏み入れたかのようだった。ケンゾーの舌が私の舌に絡むたび、私は至福の恍惚へと深く沈んでいき、その瞬間に我を忘れた。周りの世界は色褪せ、私たちを取り囲む人々の叫び声や歓喜の応援も、遠くのざわめきへと変わっていく。彼の腕が私をきつく抱きしめ、荒い息遣いと共にさらに引き寄せる。彼の胸筋が収縮するのが私の体に伝わってきた。

だが、詠唱の声が大きくなるにつれて、現実がどっと押し寄せてきた。周囲の光景が鮮明になり、突然顔に熱い波が押し寄せて、羞恥心でいっぱいになった。力がみなぎり、私はケンゾーを突き放さずにはいられなかった。その勢いで私たちのキスは終わり、彼は身を引いた。...

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