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クリムゾンヴィルの境を越えた途端、最初の襲撃の知らせが私たちのもとに届いた。町の北部はすでに包囲下に置かれているという。ガレスが二個大隊と共にそこに駐留し、堕落種を食い止めている。今のところ、敵を境界線の外に留めることには成功しているが、混血種の数は刻一刻と増え続けていた。

ハドリアンは私を自分の側から決して遠ざけようとせず、その警戒心は揺るぎなかった。私は無謀な行動を取るつもりはないと、何度も彼を安心させなければならなかった。軽率な判断をするには、自分の命が惜しすぎる。

その厳重な監視の唯一の例外は、イカロスが何か渡すものがあると言って現れた時だった。

「あなたの王は、本当にあなたを信頼して...

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