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自室の入口で、私は凍りついたように立ち尽くしていた。身動き一つ、できなかった。

衛兵たちに引きずられていくケザイアの悲痛な叫びが、廊下に響き渡った。

彼らの足音が遠くにかすかになった頃、ようやく私は固く握りしめた拳に目を落とした。爪が手のひらに食い込み、皮膚の下で血が滲んでいる。

体に震えが走った。それはアドレナリンのせいか、それとも人生で初めて許されざる行為を犯してしまったという、胸をかき乱すような自覚のせいだろうか。

内なる混沌に思考が囚われるより先に、突如として響いたリズミカルな拍手が、私の考えを中断させた。

振り返り、音の主を探すと、そこに彼がいた。揺るぎない笑みを顔に貼り付け、こち...

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