97

目が覚めると、私たちは絡み合っていた。彼の体が私の体を包み込むように。思わず笑みがこぼれてしまうほどだった。昨夜の記憶が、馬鹿みたいに幸福な気持ちで私を満たした。このまま永遠に生きていけるんじゃないかと思わせるような、そんな幸福感だ。けれど、すぐに現実が忍び寄ってきた。側室という私のややこしい立場。そして、私の恋人の妻であり、私を心の底から憎んでいる王妃の存在が、常にちらついていた。私の笑みは消え、ずっしりと重く、沈み込むような感覚に取って代わられた。

首筋にかかるハドリアンの穏やかな寝息は、本来なら心安らぐはずのものだった。けれど、その温もりでさえ、私の心を軽くすることはできなかった。私の...

ログインして続きを読む